-
ブログをご覧の皆さま、こんにちは。本日から、「機械式時計を知ろう!」と題しまして、機械式時計にまつわる基礎知識や歴史などを順次ご紹介していきます。
最近時計に興味を持った方はもちろん、長く時計を愛用されている方にも有益な情報をお届けしたいと思います!
第一回目となる今回は、機械式時計のしくみについて解説します!
機械式時計の中身ってどうなってるの?
機械式時計は何を動力源にしているかご存知ですか?……その通り!「ゼンマイ」ですよね。
リューズによって巻き上げられたゼンマイがほどけていく力を歯車に伝えて針を動かしているのです。
この原理を利用したのが「機械式ムーブメント」です。
図‐1
リューズを巻くと香箱車に入っているゼンマイは強く巻き締められ、ほどけようとするゼンマイの力が香箱車を回します。
次に香箱車は噛み合っている2番車を回します。同じようにして3番車、4番車、ガンギ車も回ります。
2番車には分針が取り付けられており、60分で一周します。
3番車は2番車と4番車を繋げる役割ですが、実は精度を担う重要なパーツです。
4番車には秒針が取り付けられており、60秒で一周します。
図‐2
図‐3
どうやってこのように歯車の回転数を上げていっているのかは歯車の構造を見ると理解できます。
それぞれの歯車は図-2のようになっていてカナの歯数は歯車の歯数に比べて少ないのが特徴です。
図-3のように歯車を隣のカナに噛み合わせて配列すれば、同じ軸上の歯車とカナは一緒に回転します。こうすることで歯数の差によって回転数を変えることが可能となるのです。
時計の「心臓部」
ゼンマイ駆動のミニカーをイメージしてみてください。
車輪を後ろに引くことでゼンマイが巻き上がり、十分に巻いたところで手を離すと勢いよく走り出します。
時計も同様に、ゼンマイのほどけようとする力がそのまま針に伝わると猛スピードで針を回転させてしまい、短時間でエネルギーを放出してしまうため、正しい時刻を刻むことができません。
そこで「脱進機」と「調速機」を使って正しい時刻を刻むよう歯車の回転を調節しているのです。
図‐4
図‐5
その役目をしているのが「ガンギ車」「アンクル」「テンプ」です。
(図‐5)4番車の回転を引き継ぐのが「ガンギ車」です。回転するガンギ車の歯が、左右に反復運動をする「アンクル」の爪に当たることで、輪列からのエネルギーを一定量ずつ放出できるのです。
時計から聞こえるチク・タク……はガンギ車とアンクルが接触するときに発生している音です。
この働きを「脱進」といい、ガンギ車とアンクルは「脱進機」と総称されます。
この脱進機で調整されたエネルギーを正確にコントロールして循環させるのが、「調速機」である「テンプ」です。
テンプは振り子の等時性を応用したもので、アンクルから伝わるエネルギーを、テンプに取り付けられた渦状の「ヒゲゼンマイ」が収縮と拡張運動を繰り返すことで左右の往復運動に変換します。
腕時計の説明書などで、振動数という文字を見かけたことはありませんか?
この振動数とは、テンプが一時間で何回振動するのかを表しています。
理論上は振動数が多い方が精度は高くなりますが、部品の消耗が早くなるためランニングコストが嵩んでしまうデメリットもあります。
石の役割
腕時計内部の美しいムーブメントを眺めることが出来るシースルーバックのモデルを好まれる方も多いと思います。
その中でも一際輝いて見える赤い石が人工ルビーです。
機械の歯車やテンプの軸が入る部分には摩耗を防ぐために人工ルビーが使われています。軸は回転しているため、その軸と接する部分には多かれ少なかれ衝撃と摩擦が生まれます。
その摩耗を最小限に抑えるため、軸が接する部分に軸受となる穴石が設けられており、そこにルビーがはめ込まれます。
ルビーが使われている理由は至ってシンプルで、硬く、圧力に耐えうる性質を持っているからです。
以前はより硬度が高いダイヤモンドが使われることもありましたが、硬すぎて軸受を摩耗させてしまうことから、現在ではルビーを使用することが一般的になりました。
腕時計の石数はムーブメントの軸受に用いられる人工ルビーの数を表しており、一般的な3針モデルに必要な石数は7〜21石となっており、それ以上は複雑機構や装飾に使われることが多いです。
石数を必要以上に増やしても腕時計のスペックに大きな影響はありませんが、視覚的により華やかな印象を与えてくれます。
まとめ
いかがでしたか?機械式時計のしくみが解ってきた気がしませんか?
時、分、秒だけでなく月、日、曜日や月齢を表示するコンプリートカレンダー、月末や閏年の修正が不要のパーベチュアルカレンダー、計測機能の付いたクロノグラフや音で時刻を報せるリピーター等にはさらにもっと多くの歯車や部品を組み合わせます。
細密で複雑な仕掛けが小さな腕時計の中に納められているのです。
知れば知るほど奥深い世界ですよね。
機械式時計は電子部品を使用していないため、故障した場合でもほとんどの場合は修理が可能です。
そのため、定期的なメンテナンスをしっかりと受ければ半永久的に使用することができます。
今回ご紹介したのは基礎的な部分だけですが、これだけでも機械式時計というものがいかに精密で高等な技術によって作られているのかが分かりますよね。
繊細な構造やメカニカルなデザインなど、機械式時計でしか味わえない魅力をぜひ体験してみてください!
prev.next.取り扱い店舗
STORE LOCATION
関連記事
RELATED POST
-
CATEGORY
記事カテゴリ一覧