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はじめに
機械式時計の世界には機構やデザイン、ブランドヒストリーなど様々な魅力があります。
ケースやベゼルに採用される素材もその魅力の一つと言えるでしょう。
また、時計に用いられる素材選びが、その時計の品質、耐久性、そして美しさを大きく左右するといっても過言ではありません。近年、多くの高級時計ブランドが積極的に採用している素材が「セラミック」です。
セラミックは金属とは異なる美しい艶があり、とても硬く傷がつきにくいという時計に用いる素材としては大変大きなメリットがあるものの、その反面では特殊な加工技術が必要でした。
近年では工作技術の発展により、セラミックは幅広いブランドで採用されるようになりました。
この記事では、セラミックが時計製造においてなぜ重宝されるのか、その特性やメリット、そしてセラミックを用いた個性派の機械式時計を紹介させていただきます。
最後までお付き合いいただければ幸いです。セラミックの優位性-時計製造における革新的素材-
セラミックは、その名の通り、陶磁器の一種ですが、時計製造に用いられるセラミックは特別な種類です。
これは工業用セラミックとも呼ばれ、高度な技術を駆使して作られる非常に硬い素材です。
一般的な陶磁器とは異なり、高温で焼き固めた後に特殊な処理を施すことで、傷がつきにくく、耐久性に優れた特性を持ちます。セラミックの原料となるペレット
セラミックスの原料には種類や用途によって、アルミナやジルコニア、炭化ケイ素、窒化アルミニウムなど、さまざまな種類があります。
出典:「webChronos」
近年この素材は、時計業界において革新的な存在として積極的に採用されています。
その理由は、セラミックが持つ多くの優れた特性にあります。まず、セラミックは表面硬度がステンレスの3倍以上と非常に高いため、日常生活で使用する際の摩擦による傷から時計を守ることができます。
また、ステンレスのような一般的な金属とは違い、セラミックは腐食に強く、海水や汗、化学物質による損傷のリスクが低減されます。
さらに、セラミックはステンレスと比較して軽量でありながら強度が高いという特徴も持っています。
加えて、セラミックは熱伝導率が低いため、急激な温度変化があっても肌に不快感を与えにくく、金属アレルギーのリスクも低くなります。高温で焼き上げられるセラミックケース
原料は、ケースを削り出す前の塊に成形された後、炉の中で1400℃の高温で焼結されます。
出典:「webChronos」
セラミックのこれらの優位性により、時計自体は長期間にわたって新品同様の美しさを保つことができるのはもちろん、過酷な環境で使用されるダイビングウォッチやスポーツウォッチに採用される素材として大きなメリットとなりますし、少しサイズの大きめの時計でも着け心地が良く、長時間の使用も快適です。
時計製造において、セラミックは主にケースやベゼル、ブレスレット、そして時には文字盤にも使用されます。
これらの部分にセラミックを使用することで、時計全体の耐久性を高めるとともに、その外観は洗練された現代的なデザインを実現しています。
-セラミック時計の優位性-
①高硬度なのでキズがつきにくい ②耐腐食性に秀でている ③軽量で着け心地が良い ④熱伝導率が低く快適 ⑤金属アレルギーのリスクが低い ⑥洗練されたモダンデザイン 以上のように、セラミックを使用した時計は、その質感やデザインだけでなく、実用性においても多くの利点を持っています。
そのため、多くの高級時計ブランドがセラミック素材を採用し、革新的なコレクションを生み出しているのです。「セラミック」×「独自性」の個性派モデル3選
さて、ここからは時計の紹介になります。
紹介します時計達は、単にセラミックを用いているだけでなく、それぞれが独自性を持つユニークなものばかりです。
時計ビギナーの一本目のチョイスとしては、個性的すぎる面もあるかもしれませんが、人と被らない個性的なものをお探しの方、またはセカンドウォッチ以降の時計選びの候補として、選択肢に加えていただくのはいかがでしょうか。オメガ シーマスター ダイバー300Mブラックブラック Ref.210.92.44.20.01.003
このモデルは、オメガの人気モデルランキングの中でも常に上位に顔を連ねる「シーマスターダイバー300M」シリーズにカテゴライズされているもので、「ブラックブラック」と名付けられたモデルです。
ケース、リューズ、ベゼル、文字盤、針、アワーマーカー、そしてストラップとその名のとおり各パーツがオールブラックの装いで仕上げられています。
このモデルは、ケースやベゼルはもちろん、波模様の文字盤ダイアル、リューズ、ヘリウムエスケープバルブといった大部分の部品にブラックセラミックが採用されています。とても個性的で真っ黒な見た目のモデルなので、お越しくださるお客様からは「時間が読み取りづらいのでは?」というご質問を多くいただきますが、各所の仕上げや質感を変えることで、時計にとっての大事な要素である視認性もしっかりと担保されています。
ブランパン フィフティファゾムス バチスカーフ フライバッククロノグラフ Ref.5200-0153-B52A
2本目はブランパンです。
数あるブランパンのコレクションの中でも、グリーンの文字盤はこのモデルが唯一の存在です。
「フォレストグリーン」と名付けられたベゼルと文字盤。
特に、文字盤中央から外側に向かって色合いが濃くなるサンバースト仕上げが大変美しく印象的です。
搭載されているキャリバー「F385」もユニークで、36,000VpHのハイビート・フライバッククロノグラフ・ムーブメントです。
サファイヤケースバック越しには、高速で振動するテンプはもちろん、スケルトン加工された4番車、美しく造形されたコラムホイールの動きや、グレーコーティングされた18Kローターの心地よく弧を描きながら揺れる動きをご覧いただけます。
ブラックセラミックのエッジの効いたケースには大変きめの細かいヘアライン仕上げが施されており、精悍なケースデザインを際立たせています。
ゼニス デファイ21 Ref.49.9000.9004/78R582
最後にご紹介するのはゼニスの「デファイ21」 、ブラックセラミックのスケルトンモデルです。
搭載されているムーブメントはもちろん36,000VpHの「エルプリメロ」ですが、このモデルのユニークなところはクロノグラフ用に独立したもう一つの脱進機を搭載しているところです。
その振動数はなんと360,000振動!!
ゼニスが誇る10振動ムーブメント「エルプリメロ」の10倍の100振動で動作させるクロノグラフ機構を制御することで、1/100秒までの計測が可能です。
文字盤センターに配置されたクロノグラフ針が1秒間に1周というハイスピードで動く様は一見の価値ありです!!
ムーブメントの内部には香箱(ゼンマイを収める歯車)が2つ搭載されています。
片方の香箱には時計用のゼンマイ、もう一方にはクロノグラフ用のゼンマイが収められており、両方向にリューズを巻くことで、それぞれのゼンマイが巻き上がるという特殊な構造になっています。ケースの仕上げも大変美しく、平面(ヘアライン)と面取り部分(ポリッシュ)、リューズやプッシュボタン(つや消し)でそれぞれ仕上げを変えることで、ケースの立体感が強調されています。
ケースもムーブメントもまさに超ハイテク仕様の1本と言えます。まとめ
最後まで読んでくださりありがとうございます。
腕時計市場には多様なセラミックウォッチが存在します。
今回紹介しました3つのブランド以外にも、セラミックウォッチは独特の質感とデザインがそれぞれ評価されており、その優れた特性により時計業界での地位を年々確立しています。
セラミック素材は今後も技術の進歩とともに、さらに多くの時計に採用されることでしょう。
そして、セラミックウォッチは、その耐久性と美しさで、多くの時計愛好家にとって魅力的な選択肢であり続けるでしょう。この記事が、機械式時計の購入を検討中の方、腕時計ファンの皆さまにとって有益な情報源となり、セラミック時計の選択に際して参考になれば幸いです。
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