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2024.07.19
【ブライトリング】新旧デザインを比較してみたら……人気モデルのルーツを知る【2023年スイス時計売上ランキングも!】
皆様こんにちは。ブライトリングブティック名古屋の橋爪です。
ブライトリングは2017年に現CEOのジョージ・カーン氏が就任して以来、精力的にコレクションの整理とアップデートを図ってきました。
彼が就任してすぐにコロナという未曽有の不安が世界を襲いましたが、その手腕によってブライトリングの業績は右肩上がり。この間に発表されてきたプロダクトの数々は、大成功を収めたといえます。
下図はモルガン・スタンレーとLuxeコンサルが発表した2023年スイス時計売上ランキングトップ20
グリーンのブライトリングに注目すると、その成長ぶりが見て取れます。
Source : LuxeConsult, Morgan Stanley Research estimates. Note: this chart cannot be reproduced without Morgan Stanley’s express authorization
業界全体が、というよりもブライトリングが特別好調なのだということも分かりますよね。
さて、そんな近頃のブライトリングですが、ロゴの変更や大幅なデザインの変更などを行うことによって、少なからず「前のデザインの方がよかった……」という声も聞こえてきます。
見慣れたデザインが変わっていくことに違和感を感じる気持ちはとてもよく分かりますが、実は現在のデザイン、全く新しいものというわけではないんです。
140周年を迎えたブライトリングの歴史のなかに、現行デザインに通じるルーツを見つけたのでご紹介します。
①ナビタイマー
1952年、AOPA(国際オーナーパイロット協会)から打診を受けてパイロットの為に製造が始まったナビタイマー。
初代のモデルはBREITLINGの表記もなく、ただただパイロット協会の会員のためにつくられていました。
70年以上、そのデザインの大枠はほとんど変わらずに受け継がれてきましたが、年代によって少しずつ表情を変えています。
現行に近いデザインとして、1963年当時のものに注目してみましょう。
12時位置のAOPAロゴ、カウンターウェイトの無いペンシル型の時分針、文字盤外周の回転計算尺、リューズやプッシュボタンのデザイン。類似点が多く見受けられます。
2022年に誕生70周年を記念して発表された現行のデザインは、回転計算尺の情報を一部省略することですっきりした文字盤に。
その分インダイヤルの面積を大きくしたり、インデックスを立体にしたりと視認性の向上を図っていることが分かります。
当時の本格的なパイロット向けに製造がおこなわれていた頃と比べると、だれでも見やすく、使いやすい工夫が積み重ねられてきた集大成ではないでしょうか。
それでもナビタイマー”らしい”部分はちゃんと残っていて、誰が見てもそれとわかるアイデンティティは健在です。
②クロノマット
1983年、こちらはイタリア空軍の曲技飛行隊フレッチェ・トリコローリの為に製造が始まったコレクションです。
一般に向け販売を開始したのは1984年、ブランド創業100周年のときだったので、2024年で40周年を迎えることになります。
当初から変わらないクロノマットならではの特徴は、筒状のルーローブレスレット、ベゼル上の四方に配置されたライダータブ、そしてオニオンリューズ。
ブランドロゴも、現在と同じく筆記体の「B」マークですね。
ライダータブはネジによって入れ替えが可能。カウントダウン/カウントアップが可能なほか、狭いコックピット内でぶつけてガラスが割れることを防ぐためという、パイロットの要望を取り入れた実用性も持ち合わせています。
純粋なパイロットウォッチだった当時と比べ、現行のクロノマットは「万能スポーツウォッチ」。
オリジナルの印象を受け継ぎながらも高級感のある仕上げを施すことで、オンオフ問わず着用できる1本です。
ブライトリングの中で最もサイズ展開が多い、幅広いモデルとなりました。
③プレミエ
1940年代、大戦の悲惨さを忘れさせてくれる、ブライトリング初の優雅で都会的なドレスウォッチとして誕生したのがプレミエ。
プレミエとはフランス語で「ファーストクラス」を意味することば。ブライトリングは限りなくエレガントな腕時計を目指しました。
ブライトリングの歴史の中で、モデル名が文字盤に表記された初の時計としても知られています。
クォーツショックによって一度はアーカイブに消えたこのモデルを2023年、現代的なエッセンスを加えることで再び蘇らせたのです。
美しい流線型のケースとスリムなベゼル、ボックス状に盛り上がった風防とシリンダー型の針はクラシカルな雰囲気そのまま。
現行モデルのプッシュボタンはスクエアに変更され、さらにまとまりのあるシルエットへと変化しています。
ムーブメントには自社製の自動巻きキャリバー01のほか、手巻きやデュオグラフ、コンプリートカレンダーにトゥールビヨンといった複雑機構がラインナップ。
シースルーのケースバックからその駆動を眺めることも可能です。
スポーティーな印象の強いブライトリング”らしからぬ”エレガントなシリーズ、プレミエ。
そのルーツはナビタイマーよりも深い所にありました。
④トップタイム
1960年代に登場したトップタイムは、エレガントで型破りなデザインが特徴の、若者に人気のクロノグラフでした。
「ゾロダイヤル」をはじめとする奇抜なスタイルはアクティブな世代の自己表現の象徴となり、人気を博しましたが、プレミエ同様クォーツショックを機に姿を消したコレクションです。
そして2023年、さらにエネルギッシュなデザインと、クラシカルなモータースポーツとのコラボによって復刻。
フォード マスタング、シェルビー コブラ、シボレー コルベット、など1960年代を中心に活躍したスポーツカーのカラーを取り入れ、エンブレムを掲げることで特別なモデルであることを強調したデザインです。
クラシカルなダッシュボードをイメージさせる角丸型のインダイヤルやビタミンカラーのタキメーター、パンチングレザーによってレーシーでスポーティーなスタイルに統一。
重要な「エンジン」は自社製キャリバー01を搭載し、70時間のパワーリザーブを誇ります。
⑤スーパーオーシャン
2022年にアップデートされた現行のスーパーオーシャンのルーツは、1965年までさかのぼります。
“スローモーション”と名付けられたこのモデルは、60分で一周するというまさに”スロー”なクロノグラフが特徴。
ダイバーにとって秒単位での計測は必要が無く、潜水時間を知るための分数のみが機能として残ったのです。6時位置にある表示は、クロノグラフが作動しているかどうかを知らせるためのものでした。
現行モデルにクロノグラフ機能は無く、シンプルな3針。クロノグラフ針に用いられた菱形のデザインは分針に変化し、水中でも見やすく。色の付いたロリポップの秒針も視認性を高めます。
オリジナルにならって文字盤外周にはインナースケールが設けられ、存在感あるサイズながらも大きすぎる印象ではありません。
ベゼルには高級感あるセラミックが使われているため、色が落ちたり傷ついたりする心配も減りました。
筆記体の”B”マークや”superocean”の文字は当時のまま。
見事に当時のデザインを現代によみがえらせました。
⑥クラシック アヴィ
クラシカルなパイロットウォッチ、クラシック アヴィのルーツをたどると、1930年代にまでさかのぼります。
この当時、ブライトリングには飛行機のコックピットクロックを専門に製造する部門がありました。
上空での極限状態を想定した視認性を確保するため、大きなアラビア数字が用いられたこのデザインは、1950年代に腕時計としても登場。当時はREF.765と呼ばれました。
2023年、ブライトリングはこのコレクションをブランドで最も歴史あるパイロットウォッチとして復刻。クラシック アヴィと名付けました。
この名は、航空・航空機を意味するアビエーションからきています。
現行モデルは実在した戦闘機のカラーを取り入れたラインナップ。航空機ファンにとってもたまらない仕様となっています。
特にP-51 マスタングをモチーフとした上記画像のモデルは、REF.765を彷彿とさせるヴィンテージデザイン。文字盤を見比べても、非常に忠実な復刻がされていることが分かります。
現在は42mmと46mmの2サイズ展開で、42mmは日付の無いシンプルなクロノグラフ、46mmは自社製クロノグラフにGMT機能の付いた複雑機構となっています。
1900年代前半の雰囲気を感じることのできるクラシックなパイロットウォッチ。知る人ぞ知る名品です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
比較してみると、歴史あるデザインを継承してきたブライトリングの姿勢が見えてきますよね。
CEOのジョージ・カーンはこのブライトリングの歴史を非常に大切にしており、クラシックとモダンの融合「モダンレトロ」を標榜しています。
現行のラインナップはまさにそれを体現したもので、古き良きデザインに最新の技術を取り入れ、さらに実用的なアップデートを加えて生み出されたもの。
ブライトリングの歴史を知ることも、自分に合う時計を探す一つの方法ではないでしょうか。
BREITLING BOUTIQUE 名古屋
担当:橋爪彼方(はしづめかなた)
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