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はじめに
機械式時計の魅力は、その精巧なムーブメントにあります。
ムーブメントは、時計の心臓部とも言える部分で、ゼンマイや歯車、脱進機などの様々なパーツが連動して時を刻む仕組みです。
ムーブメントの性能や品質は、時計の精度や耐久性、価値に大きく影響します。しかし、ムーブメントを自社で開発・製造することは、時計ブランドにとって非常に高度な技術とコストが必要なことです。
そのため、多くの時計ブランドは、ムーブメント製造メーカーからエボーシュと呼ばれる半完成品のムーブメントを購入して時計に組み込んでいます。
これは決して悪いことではありませんが、自社でムーブメントを作ることができるブランドは、やはり時計界において一目置かれる存在です。そんな中、スイスの名門ブランドであるボーム&メルシエは、2018年に自社初のムーブメント「ボーマティック」を発表しました。
この記事では、ボーム&メルシエの傑作ムーブメント「ボーマティック」の魅力を解説します。
ボーマティックの開発の経緯や特徴、ボーマティックが搭載されているラインナップやデザイン、おすすめのポイントなど、詳しくご紹介していきます。
時計好きの皆さんにとって、ボーム&メルシエのボーマティックは、見逃せない存在です。
是非、最後までお付き合いください。ボーマティック開発の経緯
ボーム&メルシエは、1830年にスイスのジュネーブで創業した、歴史ある時計ブランドです。
創業者のルイ=ヴィクトル・ボームとジョセフ=セレスタン・ボームは、時計作りに情熱を注ぎ、高品質でエレガントな時計を作り続けました。
そして、その後もボーム&メルシエは、今日までの長い歴史の中で、時代のニーズに応える革新的な時計を次々と発表し、世界中の時計愛好家から高い評価を得ました。しかし、ボーム&メルシエには、ひとつだけ欠けていたものがありました。
それは、自社でムーブメントを開発・製造することです。
ボーム&メルシエは、長年にわたって、他社からムーブメントを購入して時計に組み込んできました。
これは、ボーム&メルシエの時計が品質やデザインに劣るということではありませんが、自社でムーブメントを作ることができるブランドと比べると、やはり時計界における地位や評価に差が出てしまうのも事実です。そこで、ボーム&メルシエは、自社でムーブメントを開発・製造することに挑戦しました。
しかし、これは簡単なことではありません。
ムーブメントを自社で作るには、途轍もなく高度な技術とコストが必要だからです。
また、単にムーブメントを作るだけではなく、それが他社のムーブメントと明確に差別化できるような性能や特徴を持たせる必要があります。
さらに、ボーム&メルシエのブランドイメージや価格帯に合ったムーブメントでなければなりません。
ボーム&メルシエは、これらの課題に対して長年にわたって向き合い研究や開発を重ねました。クリフトンに搭載されたボーマティック
そして、2018年に、ついに自社初のムーブメント「ボーマティック」を発表しました。
このムーブメントは、ボーム&メルシエの歴史の中で最も高性能で実用的なムーブメントと言えるもので、高い精度と耐久性、耐磁性、ロングパワーリザーブなど、機械式時計に求められるすべての要素を兼ね備えていました。
しかも、その価格は発売当初は30万円台からという驚くほど手が届き易いものでした。ボーム&メルシエは、ボーマティックを搭載した時計として、「クリフトン ボーマティック」と「リビエラ ボーマティック」を発表しました。これらの時計は、ボーマティックの魅力を最大限に引き出すようにデザインされており、ボーム&メルシエの新たな代表作となりました。
ボーム&メルシエは、ボーマティックの開発によって、時計界における自社の地位や評価を高めるとともに、機械式時計のファンに新たな感動と満足を提供することに成功したのです。ボーマティックの特徴
ボーム&メルシエ渾身の傑作ムーブメント「ボーマティック」は、どのような特徴を持っているのでしょうか。
ここでは、ボーマティックの主な特徴を4つに分けてご紹介します。-
高い精度
ボーマティックは、高い精度を誇るムーブメントです。
ボーマティックは、スイス公認クロノメーター協会(COSC)の基準を満たしています。
この基準は、日差が-4秒から+6秒の範囲内であることや、様々な姿勢や温度での安定性が高いことなどを要求しています。
ボーマティックは、これらの基準をクリアするために、多くの革新的な技術や素材を採用しています。
例えば、シリコン製のヒゲゼンマイです。
シリコンは軽くて弾力性があり、腐食や磁気に影響されない素材です。
そのような優位性を持ったシリコンによって形成されたヒゲゼンマイをツインスピアーという技術で、2枚のシリコンを45度ずらして重ねています。
これにより、温度変化による伸縮の影響を最小限に抑え、ヒゲゼンマイの安定性を圧倒的に高めています。
また、シリコン製のエスケープメントには、摩耗や劣化を防ぐ特殊な潤滑剤や合成オイルが使用されています。
これらの技術や素材により、ボーマティックは、高い精度を長期間にわたって維持することができます。
ボーマティックは、機械式時計の精度に対する新たな基準を打ち立てた、まさに画期的なムーブメントと言えるでしょう。文字盤には「CHRONOMETER」の文字
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耐久性
ボーマティックは、耐久性にも優れたムーブメントです。
ボーマティックは、通常の機械式時計なら3~4年に一度はオーバーホールが必要なところ、5年から7年という長期間のメンテナンスサイクルを実現しています。
これは、先の精度の部分でも述べたとおり、ボーマティックに採用される特殊な潤滑油や合成オイルの効果によるものです。
これらの潤滑剤は、摩耗や劣化を抑え、ムーブメントの動作を長期間スムーズに保ちます。
また、こちらも前述同様になりますが、ボーマティックはシリコン製のヒゲゼンマイやテンプ、エスケープメントなど、腐食に強く衝撃や振動にも耐える素材を多く使用しています。
これらの素材は、ムーブメントの安定性や信頼性を高めるとともに、メンテナンスの頻度やコストを低減する効果があります。
この耐久性によってボーマティック搭載モデルには8年間という長期の国際保証が実現しました。シリコン脱進機搭載
ボーマティック
Cal.BM13-1975A
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耐磁性
ボーマティックは、耐磁性にも優れたムーブメントです。
ボーマティックは、1500ガウスという高い耐磁性能を持っています。
これは、ISO規格で定められた耐磁時計の基準である20ガウスの約75倍、JIS規格の60ガウスに対して約25倍に相当します。
この性能は、ボーマティックに採用されたシリコン製のヒゲゼンマイやテンプ、エスケープメントなど、磁気に影響されない素材の採用によるものです。
また、ボーマティックは、耐磁性能向上のために軟鉄製のインナーケースを使用せずに、高い耐磁性能を実現しています。
これは、ムーブメントやケースの薄型化やサファイアケースバックからムーブメントの動きを楽しむことにも貢献しています。薄型化されたケース
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ロングパワーリザーブ
ボーマティックは、パワーリザーブの長さにも優れたムーブメントです。
ボーマティックの約120時間(5日間)というパワーリザーブは、一般的な機械式時計のパワーリザーブである約40時間の約3倍に相当します。
これは、ボーマティックの為に最適化された香箱やコイル、高効率なエスケープメントなど、パワーの消費や損失を抑える技術の効果によるものです。
これらの技術は、ムーブメントの可動時間を長く持続させるとともに、ムーブメントの安定性や精度にも寄与しています。
また、ボーマティックは、ロングパワーリザーブを実現しながらも、ムーブメントの薄型化やコンパクト化にも成功しています。
これは、ボーム&メルシエの技術者たちによるボーマティックのデザインや構造の工夫によるものです。ボーマティックは
120時間のパワーリザーブを発揮
ボーマティックを搭載した時計のラインナップとデザイン
ボーム&メルシエ渾身の傑作ムーブメント「ボーマティック」を搭載した時計は、どのようなラインナップとデザインを持っているのでしょうか?
ここでは、ボーマティックを搭載した時計の代表的な2つのコレクションをご紹介します。- クリフトン ボーマティック
クリフトンは、ボーム&メルシエの中でも最も人気の高いコレクションのひとつです。
そして、クリフトンは、ボーマティックを搭載した最初のコレクションでもあります。
クリフトン ボーマティックは、クラシックでエレガントなデザインと、モダンでスポーティな機能性を融合させた、まさにボーム&メルシエの代表作と言える時計です。クリフトン・ボーマティック
Ref. MOA10518
ケース径:40mm
ケース素材:ステンレススチール
風防:サファイヤクリスタル
防水性能:5気圧(50m)
パワーリザーブ:120時間
自動きキャリバーBM13-1975A搭載
価格:467,500円(2024年2月現在)
クリフトン ボーマティックは、ビジネスシーンからカジュアルシーンまで、幅広く対応できる万能な時計です。
ミドルケースからラグ部分の美しくカーブを描いた曲面に施されたサテン&ポリッシュ仕上げが高級感を際立たせます。
ダイヤルは、ホワイト、ブラック、ブルー、グレー、グリーンなど選ぶことができ、そのカラーによってはグラデーション加工の美しい塗装が施されています。
インデックスや針は、ロジウムやゴールドなどのメタリックで仕上げられており、視認性や高級感を高めています。クリフトン・ボーマティック
Ref. MOA10468
ケース径:40mm
ケース素材:ステンレススチール
風防:サファイヤクリスタル
防水性能:5気圧(50m)
パワーリザーブ:120時間
自動きキャリバーBM13-1975A搭載
価格:489,500円(2024年2月現在)ストラップとステンレススチールブレスレットは、クイックリリースシステムでオーナー自身で簡単に取り外し・交換ができるのも嬉しい仕様です。
40万円台からという手が届きやすい価格で、ボーマティックの高性能なムーブメントと、洗練されたデザインが見事に調和した時計を楽しむことができる、それがクリフトンなのです。
- リビエラ ボーマティック
リビエラ ボーマティックは、ボーム&メルシエの中でも最もスポーティなコレクションです。
リビエラ ボーマティックは、1973年に発表されたリビエラの復刻モデルで、2020年にボーマティックを搭載した新作が発表されました。リビエラ・ボーマティック
Ref.MOA10616
ケース径:42mm
ケース素材:ステンレススチール
風防:サファイヤクリスタル
防水性能:10気圧(100m)
パワーリザーブ:120時間
自動きキャリバーBM13-1975A搭載
価格:533,500円(2024年2月現在)
リビエラ ボーマティックは、ダイナミックで洗練されたデザインと、タフで高性能なムーブメントを融合させた、まさにボーム&メルシエの新たな挑戦と言える時計です。
リビエラ ボーマティックは、42mmのステンレススチールケースに、12角形のベゼルと4本のビスを備えています。
ダイヤルは、ブルースモークサファイアやグレースモークサファイアなど、半透明の素材で作られており、腕に時計を着けた状態でも文字盤越しにムーブメントの一部が見えるようになっています。
クリフトン同様にブレスレットやストラップは、ステンレススチールやラバーなどの素材から選べ、クイックリリースシステムで簡単に交換できます。
リビエラ・ボーマティックは、50万円台からという手が届きやすい価格のラグジュアリースポーツウォッチとして時計ファンを魅了しています。
まとめ
最後まで読んでくださりありがとうございます。
ボーマティックは、高い精度と耐久性、耐磁性、ロングパワーリザーブなど、機械式時計に求められる実用性についての要素をすべて兼ね備えた、まさに渾身の傑作と言えるムーブメントです。
そして、ボーマティックは、ボーム&メルシエの時計界における地位や評価を高めるとともに、機械式時計のファンに新たな感動と満足を提供することに成功しました。
40万円台から50万円台という手が届きやすい価格で、自社製ムーブメントを搭載した時計を楽しみたいという方には、その選択肢としてボーム&メルシエのボーマティック搭載モデル「クリフトン」と「リビエラ」をご検討されてはいかがでしょうか。
TANAKA久屋大通店では、店頭にボーマティック搭載モデルを豊富に取り揃えております。
ご試着のみでも大歓迎ですので、是非お気軽に足を運んでいただければと幸いです。******************************************
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