ブログをご覧の皆様こんにちは。
パネライ名古屋ブティックの大磯です。

 

本日は【ルミノールマリーナ】について書いていきたいと思います。
どうぞ最後までお読み頂けたら嬉しいです。

それでは早速いきましょう。

パネライで常に人気上位の【ルミノールマリーナ】。
では、”ルミノールマリーナ（LIMONOR MARINA)”とは一体どのようなモデルなのかをご紹介します。

まずはこちらをご覧ください。

ルミノールマリーナ44㎜

ルミノールマリーナカーボテック44㎜

ルミノールマリーナロゴ　44㎜

と、3つの商品をご紹介したところで何かお気づきになりましたでしょうか？

 

そう、”ルミノールマリーナ”って結構ある！という事です。

 

その通りです。実は”ルミノールマリーナ”は特定のモデル名を指す言葉ではなく

 

３針モデル（時・分・秒針）のルミノール モデルに
に名付けられる総称となります。

 

ルミノールロゴ　44㎜
こちらの様に3針でなければ”マリーナ”は表記されません。

また、仮に3針であっても
特徴的な機能を持ったモデルには”マリーナ”は名づけられません。
例えばこちらの
ルミノール 8デイズ – 44mm

この様に、よりアピールしたい特徴（8デイズ）を持ったモデルには
文字盤に”LUMINOR MARINA” 　とは記されず

“LIMINOR PANERAI” 下に“８GIORNI”（イタリア語で8デイズ）

となります。

 

ルミノールマリーナの正体が分かったところで、
「じゃあマリーナって何？」という疑問が浮かんだ方も
いらっしゃるのではないでしょうか？

「３針モデルに名付けられるのだから、マリーナとは3針とか秒針？」

いえ、そうではありません。

【ＭＡＲＩＮＡ】マリーナ　とは　イタリア語で　”海軍”

そうイタリア海軍です。

1930年代、イタリア海軍特殊潜水部隊のために生み出された「ラジオミール」。そのDNAを受け継ぎ、1950年代に誕生したのが「ルミノール マリーナ」です。

当時としては画期的だった、独自の夜光技術「ルミノール」を採用。暗闇の深海でも時刻を確認できる、高い視認性を実現しました。

その特徴的なクッションケースは、堅牢性と防水性を高めるためのもの。リューズプロテクターは、誤作動を防ぐという実用性と同時に、武骨なまでの美しさを兼ね備えています。

ルミノール マリーナは、過酷な環境下で任務を遂行する兵士たちにとって、まさに「生命線」そのものだったのです。

 

パネライの歴史についてはこちらもご覧ください。

パネライの時計にＭＡＲＩＮＡの記載があるのも納得ですね。

では、何故すべてのモデルではなく、ルミノールの３針モデルだけがＭＡＲＩＮＡとなったのでしょうか？

 

パネライがルミノールの３針モデルにマリーナと名付けた理由について
実は結論から言ってしまうと、その答えについては記録が見つかりません。

もちろん、現代でも、あらゆるジャンルの全ての商品のネーミング理由が明かされている訳ではないので、
それまでと言ってしまえば確かにそうなのですが、もう少し深堀りたいと思いますので、
ここからは資料と考察を踏まえて書いていきます。

 

LUMINOR　MARINAのネーミングに迫るひとつの鍵として、
文字盤の表記がありますので、そこに着目して深堀してみたいと思います。

1950年代にパネライは製造したルミノールウォッチの一部にはＰＡＮＥＲＡＩの文字すら無く、
”ＭＡＲＩＮＡ・ ＭＩＬＩＴＡＲＥ”（海軍、特にイタリア海軍に限定した意味）　とだけ記されているものも存在します。
もちろん同年代の物にも、PANERAI　や　LUMINOR　と書かれたものもあり表記が統一されている訳ではありませんでした。

 

その理由を私なりに想像すると、
WW２当時パネライ社は、軍用時計を製造していましたが、
国営企業ではなかったので、すべての時計が軍の管理下で生産された訳でなく
パネライ社が企画製造した時計（サンプルや既製品の様なイメージ？）にはPANERAIの文字が入り
初めから軍の発注により製造された時計（オーダーメイドの様なもの？）にはMARINA MILITAREの文字があったではないか？

 

もしくは特定の限られた作戦や用途によっては、企業名を記載することは何かの理由で避けたかった。
などが考えられますが、
いずれにしても民間人に対して販売する時計ではなかったので、
そこにシリーズ名や商品名といった商用目的の概念はなかったと考えます。

1993年に、経営難の策として製造した1950年代をデザインを模したレプリカウォッチには、
上段にLUMINO PANERAI（ルミノールパネライ）下段にMARINA MILITARE（マリーナミリターレ）と表記されています。

 

この表記意図を考察すると、商用として販売する上で、企業名（ブランド名）などが必要となり、
それを記した上で
「これは1950年代当時のイタリア海軍の時計をサンプリングして作った時計です。」
といったコンセプトを表明したかったのではないでしょうか？

その後、1994年頃にはじめてLUMINOR MARINA (ルミノール・マリーナ）と表記されたモデルが登場します。

 

これこそ、現代も続くルミノールマリーナの原点ともいえるモデルです。
ではなぜ、MARINA MILITARE（マリーナミリターレ）ではなく、この表記にしたのか？

 

これも考察ではありますが、
ひとつに上下2段づつの計4段の文字情報に加えて9時位置にスモールセコンドが付く事は
文字盤上の視覚情報が多くなるという視認性を損なう理由から、文字情報が排除された可能性。

 

または、MARINA MILITAREはイタリア海軍を直接意味する事から、何らか理由でイタリア海軍側からＮＧが出た。
（仮にそうであれば、後のリシュモン体制になってからMARINA MILITARE表記のモデルが発売されているので、再度使用する為にアクションを起こした？）

それらを経て、1998年のSIHHにてパネライがデビューする訳ですが、
この時点で、リシュモンは最終的に1994年以降のLUMINOR MARINA 表記　秒針付き　というレイアウトを採用する事になります。

 

ここに至るまでに、恐らく社内の様々な場でプロダクトのデザイン会議やネーミング会議がなされてきたのだろうと思いますが
今同様に当時も秒針付きのモデルのシェアが高かったと思いますので、
ブランドの主軸となる3針モデルにLUMINOR MARINAのデザインをそのまま採用し、
尚且つ、MARINAの文字はイタリア軍に使用された時計であるというヒストリーとも親和性があり、
そのモデル名に選んだのではないでしょうか？

 

結果的に、秒針の無い2針モデル（ルミノールベース）との名称の差別化も図れ、
「ルミノールマリーナ」という発音してもスムーズに認識し易いネーミングが
パネライの代表モデルとして現在までファンに愛されていくことになりました。

 

今回は考察多めで書かせて頂きましたが、

 

パネライの1990年代より前の事実は、戦争や災害などで、詳細な資料が残っていない事が多く
想像でしか語れない部分が多いのですが、それもまたパネライというブランドの面白い要素のひとつと私は感じています。

現代においても、ルミノール マリーナは、その変わらぬデザインと高い品質で、多くの人々を魅了し続けています。

ヴィンテージモデルともなれば、その価値はさらに高まります。長年の時を経て刻まれた使用感は、単なる「古さ」ではなく、歴史を物語る「風格」へと昇華するのです。

そして、現代の技術で復刻されたモデルもまた、オリジナルへのリスペクトと進化を感じさせる、魅力的な存在です。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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この記事の筆者　大磯努

 

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