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パネライ ラジオミール:イタリア海軍が愛した腕時計の歴史と魅力を徹底解説
1936年、イタリア海軍特殊部隊からの依頼を受け、パネライは過酷な水中任務に耐えうる腕時計の開発に着手しました。それが、後に「ラジオミール」と名付けられる伝説の腕時計の始まりです。 当時の要請は、夜間でも視認性に優れ、衝撃や水圧にも耐えうる堅牢な腕時計という、極めて困難なものでした。
パネライは、これらの要求に応えるべく、革新的な技術とデザインを惜しみなく投入しました。 大きな特徴として挙げられるのが、文字盤の視認性を高めるために開発された、自発光する特殊な素材「ラジオミール」です。 この画期的な素材は、時計の針やインデックスに塗布され、暗闇でもはっきりと時刻を確認することを可能にしました。
また、過酷な環境に耐えうる堅牢性も追求されました。 クッション型のケースは、水圧への耐久性を高めるために、当時としては画期的であった47mmという大型サイズを採用。 さらに、リューズは、防水性を高めるために、ねじ込み式という革新的な機構が採用されました。
こうして誕生した「ラジオミール」は、イタリア海軍特殊部隊の腕に装着され、第二次世界大戦という過酷な戦場を共に戦い抜いたのです。
ここからはより詳しくラジオミールの歴史を紹介していきます。
パネライ ラジオミール – 伝説を生んだ軍用時計の誕生秘話
1860年にジョバンニ・パネライ(1825~1897)が時計店として
イタリア・フィレンツェに創業したパネライ社は
順調に経営を続け、ジョバンニ没後の1897年以降は
息子のレオン・フランチェスコ・パネライ(1851~1918)が二代目として跡を継ぎ、
当時24歳だった孫のグイド・パネライ(1873~1934)も経営に加わります。
後に三代目として社を継いだグイドは、恵まれた経営能力を発揮していきました。
当時のイタリアでは画期的だったカタログによるメール・オーダーシステム(通信販売)を確立。
それにより一般顧客の他、イタリア国鉄やイタリア海軍とも納品契約を結び、
これを皮切りにパネライ社とイタリア海軍の関係が築かれていく事となります。グイドは経営の才能だけでなく、パートナーにも恵まれました。
彼の妻であるグリエルミーナ・フラチェイの父は、工作機器に携わる実業家で
精密工具や精密工作機器などを独自に開発するルートを確立する事が出来きました。1910年初頭
第一次世界大戦に向けて時代が大きく傾きかけたころ
グイドはパネライ社とイタリア海軍との密接な関係を決定的なものとした物質を発明します。
硫化亜鉛と臭素ラジウム、メンソトリウムを合成した高い蛍光物質
彼はこれを「Radiomir〈ラジオミール〉」と名付けました。
グイドの親族であったイタリア海軍将校のカルロ・ロンコーニからのアイデアを受け
ラジオミールの粉末を小さなガラスチューブに封入し、完全な暗闇においても武器の使用を可能とする照準器※を開発。イタリア海軍への納入業者として不動の地位を獲得していきます。
※照準器=銃火器などの狙いを定める装置
ラジオミールは1916年に特許を取得。
フランス・イギリス・アメリカでも特許申請がなされ、
パネライ社の名は世界的に知られる様になりました。
1934年グイドの息子ジュゼッペ・パネライ(1903~1972)が4代目として経営を継ぎます。
当時のイタリアはイギリスと緊張状態にあり、
軍事衝突に備えて潜水攻撃部隊の創設が計画されていました。
それに伴いイタリア海軍は潜水夫用のダイバーズウォッチを必要とします。
まず、イタリア海軍は市販の腕時計を使ってテストを行います。
しかし暗闇での蛍光性、潜水時の防水性、何より軍用時計として耐久性の全てにおいて
満足のいく物ではありませんでした。
そこでイタリア海軍が目を向けたのが第一次世界大戦を契機の切っ掛けとしたパネライ社でした。
極秘軍事機密事項のもと、パネライの潜水用腕時計の開発プロジェクトが進んでいきました。
1936年3月にパネライは蛍光物質ラジオミールを文字盤に使用した防水腕時計の試作品を完成させ
イタリア海軍第一潜水部隊司令部に納品します。
さっそくこの時計を海中で昼と夜にテストをしたことろ
あらゆる点で卓越した性能を発揮します。
こうして軍は同タイプの腕時計10個をパネライに発注しました。改良を繰り返したパネライ社の腕時計は1938年にイタリア海軍に納品
その特徴は47㎜の大きなクッションケースにねじ込み式リューズを備え
インデックスにはグイドの発明した蛍光物質ラジオミールを採用した事を示す
「ラジオミール・パネライ」と文字盤に表記されたものでした。
イタリア海軍は第一次大戦以来、潜水攻撃艇の開発に力を注いでおり
低速魚雷=SLC(Siluri a Lenta Corsa)を使用した多くの奇襲作戦を実行したと記されており、
その兵士の腕にはラジオミール・ウォッチが装着されていました。1940年代に入り第二次世界大戦が勃発。その様々な戦局において、
ラジオミール・ウォッチは実際の任務で使用される様になっていきました。現代に受け継がれる「ラジオミール」のDNA
現代の「ラジオミール」は、安全性に配慮した素材を使用しながらも、その独創的なデザインや高い機能性は、当時の面影を色濃く残しています。
大型のクッションケース、視認性に優れた文字盤、そして、ねじ込み式のリューズなど、初代「ラジオミール」から受け継がれるDNAは、時代を超えて愛され続ける理由の一つと言えるでしょう。
現代の技術と融合し、進化を続ける「ラジオミール」は、単なる腕時計を超え、歴史と伝統を刻む、唯一無二の存在感を放ちます。
ここでは現代の代表的なラジオミールを3点紹介します。
パネライ ラジオミール オット ジョルニ PAM01347は、ブランドの原点回帰を体現する、クラシックかつエレガントなタイムピースです。8日間のパワーリザーブを誇る手巻きムーブメント、パネライ自社製キャリバーP.5000を搭載し、1930年代のオリジナルモデルを彷彿とさせるデザインが特徴です。
ポリッシュ仕上げのステンレススティール製ケースは、直径47mmと存在感がありながらも、装着感に優れたフォルムを追求。サンドイッチ構造の文字盤には、ベージュの夜光塗料が施され、ヴィンテージテイストを引き立てます。
PAM01347は、クラシカルなデザインと最新の技術が融合した、パネライの時計製造における技術力と伝統を体現するモデルと言えるでしょう。そのシンプルながらも洗練されたデザインは、時代を超えて愛されるタイムレスな魅力を放ちます。
◆ポイント!
- 8日間ロングパワーリザーブ: 自社製手巻きムーブメントP.5000搭載で、週末も巻き上げ不要の利便性を実現。
- ヴィンテージ感漂うデザイン: サンドイッチ構造の文字盤やドーム型風防など、1930年代のラジオミールを彷彿とさせるデザイン。
- 装着感に優れた47mmケース: 存在感がありながらも腕になじみやすいサイズ感で、現代的なシーンにもマッチ。
パネライ ラジオミール オフィチーネ PAM01382は、ブランドの原点に立ち返り、1930年代の工房で作られた初期のラジオミールを忠実に再現した特別なモデルです。ヴィンテージ加工が施された47mmのエイジングスチールケースは、長年の時を経てきたような風格を漂わせます。
マットな質感のブラックダイヤルには、アイボリーカラーの夜光塗料を塗布したアワーマーカーと数字、ブルースチールの針を採用。当時の雰囲気をそのままに、視認性にも優れています。搭載する手巻きムーブメントP.6000は、3日間のパワーリザーブを備え、シースルーバックからその精緻な動きを鑑賞できます。
ストラップは、使い込むほどに味わいを増すカーキグリーンのPonte Vecchioカーフストラップを採用。ヴィンテージスタイルを完璧に仕上げています。歴史と伝統を感じさせる、コレクター垂涎の一本です。
◆ポイント!
- 1930年代のラジオミールを忠実に再現: ヴィンテージ加工を施したエイジングスチールケースやマットブラックダイヤルなど、当時の雰囲気を完璧に再現。
- シンプルで視認性の高いダイヤル: 夜光塗料を塗布したインデックスと針、そしてブルースチールの針を採用し、シンプルながらも視認性に優れています。
- 手巻きムーブメントの味わい: パネライの3日間パワーリザーブ自社キャリバーP.6000は、手巻きならではの温かみが感じられます。
パネライ ルミノール マリーナ PAM01292 は、ブランドを象徴する力強さと、洗練されたエレガンスを兼ね備えたタイムピースです。40mmのAISI 316L ステンレススティール製ケースは、ポリッシュ仕上げのベゼルとサテン仕上げのケースの組み合わせが美しく、堅牢さと高級感を両立させています。
特徴的なのは、ホワイトダイヤルを採用した点です。ブラックダイヤルとは異なる、爽やかで洗練された印象を与え、パネライの新たな魅力を引き出しています。夜光塗料を施したアワーマーカーと数字、そしてルミノール リューズプロテクターは、暗闇でも優れた視認性を確保します。
搭載される自動巻きムーブメント、パネライ キャリバーP.900は、3日間のパワーリザーブ、日付表示、スモールセコンド機能を備えています。ブラックのアリゲーターストラップは、スポーティーな中にもエレガントさを演出し、抜群の装着感はあらゆるシーンで活躍します。
PAM01292は、パネライの伝統と革新が融合した、時を超えて愛される一本となるでしょう。特にホワイトダイヤルは、定番モデルに新鮮な印象を与え、所有者を満足させる特別な存在感を放ちます。
◆ポイント!
- 現代的なサイズ感: 40mm径のケースは、オリジナルのラジオミールよりも小ぶりで、現代の腕元にフィットしやすいサイズ感です。
- 汎用性の高いデザイン: シンプルなデザインは、カジュアルからフォーマルまで、様々なシーンで活躍します。
- 自社製ムーブメント搭載: パネライ自社製自動巻きムーブメント、Cal.P.900 を搭載し、高い精度と信頼性を誇ります。
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お問合せは
・お電話:052-951-8111パネライ名古屋ブティック 基本情報 住所 愛知県名古屋市中区丸の内3-19-12
久屋パークサイドビル1F営業時間 11:00~19:00 定休日 水曜日定休 ※祝日の水曜は営業 アクセス 市営地下鉄 桜通線・名城線 久屋大通駅 北改札口2A出口前 駐車場 セントラルパーク駐車場(チケット有り) 電話でのお問い合わせ 052-951-8111 メールでのお問い合わせ お問い合わせはこちらをクリック この記事の筆者 大磯努
-Profile-
大磯 努(おおいそ つとむ)
TSUTOMU OISOパネライ名古屋ブティック マネージャー
2011年、日本で2番目のブティックとして
名古屋ブティックがオープンした際に
スタッフとして入社。
2018年より現職。愛用時計はパネライPAM00233 他
趣味は スキー、トレッキング、ガーデニング========================
prev.2019.02.18
next.2019.02.18
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